“取扱品を考察しました”シリーズ
ACアダプタを開封して、信頼性考察してみました。
デルタ電子株式会社製「MEA-065A12C」

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    ACアダプタを開封して、信頼性考察してみました。
    デルタ電子株式会社製「MEA-065A12C」

こんにちは。レスターエンベデッドソリューションズ テクノロジーデザイン本部です。
今回は、パソコン、家庭用機器の給電や充電用として一般的に使われているACアダプタに関してのBlogです。

私が考えるACアダプタの選定ポイント

AC電源をDC電源に変換する際には、主にトランス式とスイッチング式に大別がされ、ノイズを気にする場合にはトランス式効率を気にする場合にはスイッチング式を選定すると思います。

電源装置と言っても正確に分類が出来ないほど多岐にわたっており、

入力&供給形態AC入力―DC出力型、DC入力―DC出力型
設置形態内蔵用と外付け用
用途形態医療用、産業機器用、一般機器用
提供形態CHIP型、モジュール(基盤)型、アダプタ型

個人的な意見としてですが、ACアダプタを選定する際に留意している事柄として、

  • 安全性は担保されているのか?
  • 安定した商品供給が出来るのか?
  • 電源供給元は何処からなのか?
  • 電源供給先は何処にされているのか?
  • 使用用途に合致する重量、サイズ、構成なのか?
  • 供給メーカの姿勢と供給期間に問題は無いのか?
  • 値段とMOQのバランスは適切か?
  • OR部材選定は可能なのか?

を考慮しています。

今回のブログでは「デルタ電子製 MEA-065A12C」を選びました

この商品は医療機器用としても販売されている商品で、デルタ電子のラインナップの中では比較的に高品質の分野に属します。
また、周りに電子機器が配置されている状況なのでノイズ発生源にならない様にトランス式を選定し、入力レンジが広く、漏れ電流の低減、感電保護などの安全性に配慮されている事も選定した理由です。

確かにマーキングを見ると認定や規格は十分に取得されています。 (規格については、また別の機会に)

引用元:デルタ電子「TECHNICAL DATASHEET(https://deltapsu.com/jp/products/download/Datasheet/MEA-065A12C)2025/02/27」

開封考察しました

古い人間ですので、中を見ないと安心しない質です。

開封してデルタ電子の高品質を製造面から確認をしていきたいと思います。

ACアダプタ本体とケーブル

↑現物です。

Pin PackケーブルはAWG16が使用されており、アジア地区で大きな市場を持っている関係上、日本、韓国、中国の安全規格は当然取得されております。

本商品は、医療・高信頼性の要求が高い市場に向けて提供されており、疑う必要は無いですが、部材選定、製造などメーカから説明を頂いている事柄を確認する意味で開封を実施。
(信じていない訳ではなく、あくまでBlack Boxで使用したくないので)

本体ケースと中身

本体ケースに関しては上下の組み合わせ構成になっており、接合部分は凹凸型の噛み合わせ構成になっているため、凸側に着剤が塗布されてことから開封を阻みます。

AC側・DC側の開口部分については、AC側にはパッキン素材(写真では黄色のLineの様に見えている部分)が使われていますが、本体ケースの凹凸部にはパッキン素材が無いのでマークです。(部材の共有でしょうかね?)

DC側には、パッキン素材は無いです。

シールドケースの全容

やや厚めのシールド素材でほぼ全てが囲われ、PCB基盤とは半田付けによりGND共通になっております。

ノイズ対策としては伝導・輻射ノイズ対策が有りますが、スイッチングレギュレータ等の部材は搭載されていない筈なので“受け無い”を主たる目的としていると推測します。

また、回路図が入手出来ていないので、どの様なフィルタが搭載されているのか?ノイズ電流をどの様にして制限しているのか?などは、申し訳ありませんが不明です。

トランスには3M社のシールドテープが更に巻かれており、トランス付近の受電体(放熱板、シールドケースなど)にも同じテープ処置が施されています。

また、重い部材、可動の懸念があるケーブルなどの固定に関しては多量の固定剤が使用されています。

固定剤

シールドケースとPCBボードの間には樹脂ケース(写真の黒い成形物)により絶縁されており、その樹脂ケースとPCBボードは大量の固定剤によって固定されております。

PCB裏面に複数個所で多くの固定剤が塗られていますが、樹脂ケースとの固定以外には意図が推測は出来ておりません。

AC側のコネクタとPCB基盤の接続に関しては、コネクタ側は圧接、PCB側は半田付けで両端処理がされており、
PCB側で半田付けされているケーブルの先端は圧接用コンタクトピンが鉸められており、コンタクトピンごとPCBへ指して半田付けされております。

DC側の取付ケーブル先端にも圧接用コンタクトピンが取り付けられてPCB基盤に半田付けされており、安全性と加工性を感じます。

チップ部材のはんだ付け

CHIP部材はフロー半田工程の関係だと思いますが、着剤により固定されたうえで半田付けされており、半田付けは非常に綺麗に仕上がっています。

目視できる部材は、電解コンデンサには日系企業製品、ディスクコンデンサは台湾企業製品を採用しており、部材選定に関して配慮があるため問題は無いと思います。

エンジニアのつぶやき

もう十数年前になりますが、海外より輸入した電子部材で嫌な思いをした経験が有ります。(デルタ電子製ではありません)

パワー半導体の中身がなんか変?
認定の印刷は本当なの?
設計・製造がキッチリされていないのでは?

と疑念の目で部材を見ていた時期が有りました。
遠い過去ですが痛い目にもあいました。

現在は2025年です。
が、Black Boxのまま使うには。。。。。
という思いも有り、新規選定の際に世界的に有名なデルタ電子製ACアダプタを確認致しました。

製造は綺麗か?
落下対策などの安全配慮はされているのか?
選定されている主要部材のメーカは?

デルタ電子製ACアダプタ 間違いないです。

更新履歴

2025/2/28 新規作成